5日
朝6時にテントから顔を覗かせ、空の様子を窺ってみた。
なんか、微妙に雰囲気が悪い!

寝直しをしたが、タモゾーが起きた気配を感じ、外に出た。
夜中に雪はまた雨に変わったのか、テントのテンションコードを
つたわる水が凍り付いていた。

「今日は、駄目だな!!」
「一日、何をして過ごそう?」
「ソフトクリームを食べに散歩に行って、温泉にでも入るか」 などと
二人して相談した。
朝食を食べ、コーヒーを飲んでいると残りの連中も起きて来た。
滑り班の二人は空を見て、喜喜快快としている!
(なんという奴らだ!そんなに滑りに行くのが嫌なのか?)
ところが8時を過ぎた頃、急に雲が切れ、日が差し始めた。
こうなるとタモゾーが、ソワソワし始め、黙っちゃいない!
「隊長、早く行きましょうよ」 と、私の尻を叩く。
登り班4人、慌てて用意をした。
全く動こうとしないリーダーに
「俺達は登りに行ってくるから、お前らもちゃんと滑ってこいよ」 と檄を飛ばし
コンゾーには「弥陀ヶ原のバス停を証拠写真で撮ってこいよ」 と命令した。
(とは言ってみたものの、奴らの行動は怪しすぎる!何をしてくることやら?)
我々は、予定通り奥大日を目指すこととした。

私はここのところ、週一のペースで山遊びをしていた効果なのか
すこぶる足の調子が良かった。
難なく稜線まで到達した。
タモゾーが 「隊長、絶好調ですね!!」 と誉めてくれた。
ニッシ―とガンツが遅れている。
しかし奥大日までには、まだ四つのピークを越さなければならない。
先を急いだ。

気持ちの良い稜線漫歩だ!!

雲に隠れていた剱岳が、一瞬だけ顔を見せた。

まだ剱岳を征服してないタモゾーが 「待ってろよ」 と狙い打った。

室堂方面を見て驚いた!
[雪の大谷] 観光客の大行列ができている。
朝早くから、大勢の人が訪れているようだ!

そして、最後の登りに着いた。
だが、これが結構急で長い。
テン場から見える一番尖がったピークだ。
いつも、凄い雪庇を付けていて圧倒される。
だが今年は例年に比べ、大分積雪が少なく雪庇の張り出しも小さかった。

2時間半程で奥大日岳三角点に、触れることができた。
ガスに包まれ、見晴らしはなかった。

(リーダーとコンゾーは、今ごろ何してんだろ?)
「さあ、さっさと戻るべ」
基地へと駆け下りた。
基地に滑り班の姿は無かった。
板も無いので、一応は滑りに出かけたようだ。
時刻はまだ2時前だ。ビールで喉を潤し、昼寝タイムとした。
3時過ぎ 「隊長、風呂へ行きますよ」 の声に起こされた。
奴らは、まだ帰ってきてなかった。
(いったい、何処で何してんだ?)
雷鳥沢ヒュッテの温泉で、しっかりと温まり体をほぐした。
(雪山で宴会して、温泉に入って、なんと幸せなことだろう!
まさにジャンキー達のために、有るような場所だ)
リーダー達は戻ってきていて、昼寝をしていた。
起きて来たリーダーに、今日の行動を尋ねると
「勇気ある決断をして・・・」 と言葉を濁そうとする。
「???何だ!勇気ある決断って?」
「いや、だからガスガスになってきたので、勇気ある決断をして
撤退してきました」 と答えた。
「なに~!馬鹿言え!こっちからずーっと、そっち方面を見てたけど
よく晴れてたぞ」 と突っ込んだ。
「いや、僕達のところはガスでした」 と言い張る。
「コンゾー、撮ってきた写真を見せてみろ」
コンゾーの写真と、聞き取りから私が推察して
彼らの行動をリポートする。
また私に、グダグダと文句が言われるのが嫌で
一応、室堂山を目指したようだ。

弥陀ヶ原ツアールートに乗る為には、室堂山を越さなければならない。
しかし、コルから見た室堂山の山頂には雲が掛かっている。
そして何よりも、長い登りが目に入った。
リーダーが言った 「コンゾー、ガスがひどくって撤退したことにしよう」
風除けの穴を掘り、ラーメンパーティーをすることにした。

コルから見た大日方面。
(こんなに素晴らしい景色が広がり、写真まで撮っておきながら
ガスで撤退してきましたなんて言い訳が、通るはずがない!)

そして、ひとしきりマッタリした後、次のなんちゃって行動に出た!
「よし、みくりが池温泉へ行って風呂へ入るぞ」
温泉に入ってしっかりとくつろぎ、定番の [みくりが池ソフト] を食べ
戻ることにした。

大体こんなところであろうと思う。
なんのことはない!
今朝私とタモゾーで相談していたことを実践してきただけのこと!!
まあ、本人達が満足していれば、それはそれで良いのだが・・・
さすがにリーダー! その [なんちゃって度数] 向かう所敵無しだ。
夕刻、雪洞でくつろいでいると、突然雷が鳴り始め、雹が降ってきた!
これで、お天気マークのすべてを、クリアーしたことになる???
ほんの僅かな時間で、嵐は過ぎ去り、今宵の宴会を始めることにした。

コンゾーが、ぺペロンチーノを作ってくれた。

皆は、我先に手を伸ばすが、やれ 「麺の塩が足らない」 「茹で過ぎだ」 などと
文句だけは言う。
コンゾーにしてみれば (文句があるなら食うな!食う以上黙って食え)
という話か・・・
雪洞の中は温かい!
私は気持ち良くなって、うたた寝をしてしまったようだ。

起こされ、また這いずってテントに転がり込んだ。
後のことは知らない。
明日は片付けて帰るだけ、リミッターが外れた連中は、12時過ぎまで
宴を続けたらしい。
雪洞は良い! いくら大騒ぎをしていても、まったく外には聞こえない。
今回は、周りから叱られずに済んだ!!(来年からは、これだな)

夜中には晴れ上がり、素晴らしい月夜だったという。
コンゾーが、月光浴の写真を提供してくれた。

6日
5時半、年寄りの朝は早い!
隣のテントのタモゾーが、ゴソゴソと片付けている音が聞こえてきた。
「天気は、どう?」 と尋ねると
「隊長、怪しいっすよ。 早く始末したほうがよさそうです」 と教えてくれた。
慌てて飛び起き、外に出てみた。
たしかに今にも泣き出しそうな様子だ!
リーダーは昨夜飲み過ぎたせいか、頭を振りながら起きて来た。
大至急撤収の旨を伝える。
テントを濡らしたくない一心で、皆焦って後片付けをした。

今年も日焼けと酒で、チョモラン人になってしまった!

立つ鳥、跡を濁さず。

片づけが終わった者から、室堂に戻り始めた。
読み通り、強い風が吹き始め小雨が降ってきた。
室堂に着く頃には、吹雪になってしまった。
観光客があまりの天気に、右往左往している。
三日間、よく遊んだ!
これで本当に冬装備の遊びは終わりだ。
やっと、冬の物を片付けることができる。
ちょっと、寂しい気もするが・・・
室堂にて 「今回は、これにて終了!!」

最後に、良き仲間に感謝!!



by 隊長