2014夏休み冒険 前編(奥穂高岳南稜 8月13~15日) |
上がるようになってきた!!
(て! お前らさァ~、そろそろ接待山行を企画したら
どうなんだ・・・!?)
いろいろ考えたが、私の [気になるリスト] から [奥穂高岳南稜] を
チョイスした。
8月13~15日の設定だ。
近年、雪深く残る春山シーズンには、人気があるバリエーション・ルートだ!
だが、夏山となるとサッパリだ!!??
理由は、いろいろとあるようだが・・・?
7月末、台風11号・12号が相次いで発生した!
動きが気になるところだ。
先んじて、12号が近づいてきた。
しかし遅々として進まない!!
やっと遠ざかったが、次が控えている。
追いかけ、日本を襲うルートに乗った11号。
こいつも足が遅い!!
日本列島は、あちこちで連日豪雨の被害が出ている。
8日になり、やっと先が読めるようになった。
台風一過とまでは、いかないようだが
12日頃からは、天気も期待できそうだ!!
一安心した!!!
だが! なんということだ!!?
出発日が近づくにつれ、天気予報がドンドン修正されていくではないか!
結果、かろうじて13日のみに、お日様マークが残るだけになってしまった!!
しかし、こんなことでメゲル我々ではない!??
助さん(コンゾー)、格さん(イチゾー)、お銀(ミハエル)を従えての
黄門様漫遊へと出かけた。
13日
今日は、岳沢小屋へ移動するだけだ。
朝ノンビリと上高地入りをした。
さすが? 盆休みの上高地、息苦しくなるほどの人出だ!!
カッパ橋からいつも見上げる岳沢だが、今日はいつもと視点が違う!?
岳沢小屋から伸びる滝沢を見つめ、南稜を追う!
メインターゲットのトリコニーは、後ろの山肌とスカイラインが重なり
よく見えない。
今回は、昨年の北岳 [お仕置き部屋] が効いたのか
各々が事前に良く調べてきたようだ!
それぞれの資料を見比べ「あ~だ!」「こ~だ!!」と
明日の冒険に、思いを馳せる。
(さあ、小屋まで登山??の始まりだ!)
黄門様システムは、とても良い!!?
ザックから、金属の塊とロープを取り出し
「ハイ! 助さん、これ!!」
「ハイ! 格さん、これ!!」
(よし!! これでOK!!! これで、なくっちゃ・・・!)
「さあ、出かけるとするか!」
相変わらず、樹林帯の中は湿度が高く、風も無い!!
蒸し暑さに、汗が噴出してきた。
突然、冷気が漂った!!? 天然クーラー [風穴] だ。
冷気の出口である岩の割れ目に、顔を突っ込み、体を冷やす!!
よく見ると、隙間の奥には氷が残っている!!!
そろそろグダグダと、文句を言い出そうかなと思う頃
岳沢の河原に飛び出た!
風が気持ちよい!!
「腹減った!! メシ!!!」
暫しの休憩を取ることにした。
今日は我家の自信作である、鮭の散らし寿司のお握りを持ってきた。
皆に振る舞う。
これが、美味い!!
家で食べるより、遥かに美味しく
もともと、お握りにして食べるのが正解か!! と思えるような出来だった!!
昨夜の残り物だが、一晩置いて具と酢飯が馴染んだか・・・。
皆で感謝~!!
南稜は初めてのチャレンジ・ルートということで
久しぶりに [ピース] も連れて来た!!
振り返れば、六百山! その後ろには霞沢岳!!
両方とも、いつかはやっつけたいピークだ。
夏休みでもあり、幼児を連れた家族を多数見かけた。
その中の一人に尻を追われ、弱音も吐けず足を進める!!
(クソッ!! このガキ!! なんちゅう、元気のいい奴だ・・・!!!)
そのおかげか? 愚痴る前に小屋に着くことができた!?
明後日の逃げに使うかも知れない、天狗沢の状況を確認する。
思っていたよりも雪渓は小さい!!
これなら問題なく使えそうだ。一つ、気が楽になった!
「よ~し!! 着いたぞ~!!!」
とりあえず・・・!!?
今日のタスクとして、南稜取り付き部の状態確認が
残っている。
「さて、チャッチャと行くか!」
(どれどれ??)
ここまで来れば、明日のルートもトリコニーまで
よく見える!! 南稜沢も、下部岩壁も、上部岩壁も!
だが、それもトリコニー3峰までだ。
3峰から南稜の頭までは、全く見えない!!
資料の方も同様で、3峰の先は皆無だ!!
(まあ、資料が無いということは、オンサイトでも大丈夫ということか・・・)
(なんとか、なるわな・・・)
明日、最初の核心となる取り付きのシュルンド。
確認のために雪渓を登り上げる。
凄い景色が迫ってきた!!
滝沢F1と、見事な柱状節理!
火山からの生い立ちである、穂高の歴史を感じることが出来る!!
この先は傾斜がキツイ!!
アイゼンを付けさせる。
ついでに「おい、イチゾー!! お前の責任において、穂高の神に
明日の天気をお願いしとけ!!?」
今回も雨にやられれば、「やはり!イチゾーか!!」のそしりは
免れまい!!?
雪渓の突き当たりは、大変なことになっていた!
滝下の流心では、覗き込んでも底が見えないぐらいの深さだ!!!
南稜沢のシュルンドも、あまりの大きさに皆「オ~ッ!! ノ~!!!」
スノーブリッジで繋がっているが、とてもじゃないが渡る気にはなれない!!
ましてや、ブリッジ手前にはパックリとクラックが入っている!!
(どうすることも、I can not・・・!!)
目の前に明朝攻め上がる、南稜沢が伸びている。
グレードは、さほど高くなさそうだ!
また一つ、気が楽になった。
雪渓のエッジを伝い歩き、渡れそうな所を見つけることができた!!
これで、なんとかスタートは切れそうだ。
また一つ、気が楽になった。
「状況は、大体分かった!! さあ、戻って会議でもしようぜ!」
一目散に雪渓を駆け下った!?
「まあ、まあ、まあ!! 今日のところは、とりあえず・・・」
ビールを飲めることの喜びか・・・?
今、ここに居ることの幸せを噛み締めているのか・・・??
(満ち足りてるね!!)
立派な石のテーブルで、会議に花を咲かせる!??
(まだ晩飯まで、1時間半もある! 大丈夫か!??)
もう一年になろうとしている!?
今は亡き、友人マッサルとバカをやった昨年のことが、思い起こされた。
そして、悲しくなってきた。
いい加減、酒が回り始めた頃、やっと待望の晩飯を頂くことができた!
(いや~!腹減った!! 考えてみれば、今日は真面目に昼飯食べてなかったな!!)
夕食後も作戦会議は続いている。
18時過ぎ、外に出てみれば(やはり!!・・?)
(おい!!イチゾー、ええかげんにしとけよ・・・!?)
(明日は大丈夫か!? どうなる・・・!??)
中編に続く
by 隊長