第9回アイスキャンディー・カップ in 赤岳鉱泉(前編) |
2015年2月28日~3月1日 赤岳鉱泉アイスキャンディーカップ開催!
皆が待ちに待った、アイスキャンディー・カップの日がやってきた!!
選手公募で行われる、現在日本で唯一のアイス・コンペだ。
今年は、我がチームからコンゾー、ミッチー、ミハエルが選手として
私、ヨシゾー、ミズノ―がスタッフとして参加することになった。
特訓をこなしてきた、若衆達!
果たして結果や、如何に・・・!??
あまりにも楽しい時だっただけに、全てを伝えたい!!
一体、どんな長編になるのやら!??
2月28日
朝6時、仲間内が美濃戸口へと集まった。
事前情報では、美濃戸までの道路状況が良くないとのこと!!?
乗り合いで台数を絞り、事なき様チェーンを装着する。
(今日は遅刻するわけにはいかない! 気が焦る!!)
ところが!! 私とミッチーが同乗したミヤナガGの車が突入した時には
すでに遅し!! 事は始まっていた!??
舐めて掛かった車が障害になり、進むことも引き返すこともパニックに
なってしまった!!
早々と自分の出番が来てしまった!!?
場を仕切り、なんとか整理しようとするが
次から次へと、後続車が突っ込んできてニッチもサッチもいかない!!
知り合いのガイドが、八ヶ岳山荘に電話をして車を停めてもらった。
しかし、待てど事態は好転しそうになかった!
(ダメだ!! これでは何時のことになるのやら・・・)
ミヤナガGに車の始末をお願いし、残りの者は歩き始めることにした。
歩くことは辛いが、車に追われることなく静かに歩ける雪道は快適だ!
北沢林道の途中にある祠で、ミッチーが今日の必勝祈願をする。
今日は上天気になりそうだ!
朝日が眩しい!!
上田シスターズも追いついて来た。
アイスキャンディーが見えてきた。
コンペのルート設定は終わっているようだ。
これから戦いを前に、静けさが漂っている!!
バーベキュー用の火起こしも始まっていた。
「火起こしだけは、誰にも渡せねぇ~!!」と吠えるソータ!!
タイキの友人でアイスはやらないのに、祭りだけは騒ぎに来る!!?
程なく、ミヤナガG達と共にミハエルも着いた。
鉱泉の食堂は、受付を待つ大勢の選手で賑わっていた。
北は北海道から、西は大阪から選手46名、スタッフ23名が集まる!!!
氷馬鹿達の大集合!! ざわめきの中に熱気が溢れていた!!
10時半、選手の登録受付が始まった。
ゼッケンシールを手に入れ、心がドキドキし始めるが
鉱泉スタッフが笑いで緊張をほぐす!!
引き続き、選手とスタッフに分かれミーティングが始まった。
選手にはプリントが配られ、細かいレギュレーションが伝えられる。
12時からの競技開始を前に、開会式が始まった。
(それにしても、いい天気だ!! 気持ちがイイ!)
今大会のルートセッターと総合ディレクターを担う
テツヤ組長とナオコ総長の夫妻が紹介された。
前日から入山し、12本のルートをセットし
夜は夜で、宴会! いや、もとい!! 最終ミーティングを済ませ
今日に臨んでいる。
大変な責任のもとに、沢山の仕事をこなさなければならない!!
本当に、頭が下がる思いだ!!
彼らのためにも今日明日の二日間が、上手くいくことを願わずにはいられない。
そして、今年も参加してくれた北海道勢の紹介!!
リーダーのナラ選手は日本を代表する、アイスWCクライマーだ。
12時のゴングを合図に、コンペが始まった!!
明日の決勝に進出できるのは、各クラス6位まで。
明日がドキドキになるか? 悔しい思いになるか??
(さあ! 思う存分、暴れてもらおう・・・!)
ユーコとミハエルが並んで登っている。
天辺にぶら下げられた、カラフルなフライパンを叩けばゴールだ!!
そんな愛弟子たちの頑張りを、落ち着いて見ていられない総長!!
思わず手に力が入り、声を張り上げる!
「ガンバ~!! 落ちたら、許さないわよ~!!!」
我々スタッフの仕事は、ジャッジとタイムキーパーだ。
お気楽な仕事のようだが、これがなかなか忙しい!!
次から次へとアタックする挑戦者達で、休んでいる暇はない。
なにやら良い匂いがしてきた!!?
振り返ると、すでにバーベキュー・パーティーが始まっているではないか!
ユミの目を盗み、そっと抜け出し皿を手に取った!!
落ち着いて食べていられない!!
アッチッチ! の肉やウィンナーを口にねじ込む。
男女混合オープンクラスに与えられた[ルート2]は
ドライ壁の途中、吊り下げられた材木(通称マグロ)をたどる
パワーを要求される、イジメルートだ!!?
それでも息を切らしながら、皆クリアーしていく!!
(さすが、オープンに出る連中は違うわ・・・!!)
女子にもドライが用意されている。
僅かな距離だが、ちょいと頭を使うムーブだ!!?
月を拝む大同心!!
素晴らしい今日の日を、象徴するような景色だ!!
夕刻16時になり、本日の予選競技は終了した。
これからが、また我々の出番だ!?
最近、巷のアイスクライマーの間では、あるゴム手袋が流行っている!!?
[ショーワグローブ]というメーカーの[防寒テムレス]という商品だ。
起毛のインナーが付いていて、マイナス60度でも柔軟性を失わない優れものだ。
かつテムレス・テクノロジーという透湿防水素材の仕様で
[手蒸れす]らしい!??
(まあ、これについては全く期待してないが・・・!)
(郷に入りては、郷に従え)で、私もご覧の通りになった。
今日も見ていて思ったが、どいつの手も、こいつの手も、青のゴムグローブだ!!?
(テムレス教団ができるんじゃないか!!?・・・)
明日を夢見る連中は、晩飯の時間になっても引き上げない!!
「早く飯を食べんと、無くなるぞ~!! 散れ!散れ!」と追い払った!?
日も暮れ、照明をつけての作業となった。
運よく風の無い夜だが、時間になればそれなりに寒い!!
ジッとしていると、震えがくるほど冷え込んできた。
女子ビギナー決勝ルートが書き上がったところで
「おい!タイキ。いっぺん登ってみそ!!」悪魔達から、ささやきが入った。
イジメられることが分かっていても、嫌とは言えないタイキ。
意を決して、バイルを握った。
20時!やっと晩飯にあり付けた!!
(さあ! 飲むぞ~! いや、食うぞ~! いやいや、飲むぞ~!!)
今日のリザルトと、明日の決勝タイムスケジュールが張り出された。
(な・な・なんと!! ジャンキー娘、二人とも予選通過で決勝進出!!!)
私としても、この上ない喜びだ!
自分の名前を見つけ、大喜びのミハエルだった!!
すでに大分出来上がってしまったが、
取り敢えず食堂の席を立ち、選手達の宴会部屋へと突入した。
各地の酒が集まり、振る舞われ、飲めや歌えやの大騒ぎ!!
新たに[伝説の夜]となるであろう夜が始まった!!!
まあ皆、飲むわ!飲むわ!!
次々に一升瓶が空になってゆく!!!
23時前、タイキ率いる鉱泉3馬鹿トリオが、虎の穴に飛び込んできた!!
いじり倒されることを、知ってか知らずか・・・!?
案の定「オイ! タイキ!! そこに立て。プロポーズを何処でどの様に言ったか
詳細に述べてみよ!!」とのお達しが入った!!!
「え~っ!! それは、ちょっと・・・」
「ウルサイ! 何を言ットルダ!! サッサと白状しろ」と許されない!!
「え~と、それはですね~、屋根の上・・・モゴモゴモゴ・・・」
皆、大喝采である。
明日の男子オープン決勝進出者が皆残っている!!?
何故か?
それは去年[前宴会で最後まで耐えた人が、翌日を制す!!]という
変なジンクスが生まれたらしい!??
酔い潰されるのか? 潰すのか?? 全然、別次元の戦いが始まっていた!!
ある意味、大したものだ!!
明日を控えて、ここまで馬鹿になれることに感心をした!
そ~いえば、先程までミッチーとユーコの女の戦いも繰り広げられていた!??
互いに飲めない酒を、なんとか相手に飲ませようとしていた!!
(怖い! コワイ!! 女の戦いは怖い・・・!!)
そのくせ、知らない内に二人とも姿が消えている!
(あ~! コワイ!! コワイ!!)
「たいちょお~!! 酒が無いんですけど~!!」
空瓶を次々に確かめながら、絡んでくる!
もう、私もこれ以上こいつ等には、付き合っていられない!!
(なんとか、逃げ出そう・・・)
「ちょっと、トイレに行ってくるわ!」
こいつ等が、何時に解散したか!? 私は知らない!!
今が何時かも分からない!!
明日の朝、いや! 今日の朝は、起きることが出来るのか!??
後編に続く
by 隊長