第3回キャンディー・フェスティバル(3月9~10日) |
アイスクライミングを体験してみたいという、一般の人々にギヤ全てを貸し出し
アイスキャンディーで遊んでもらう催しだ。
昼には、バーベキューパーティー、夜にはホットワインと甘酒を飲みながらの
花火と、キャンディーのライトアップショー。
更に翌日には、超ビギナーコンペと称して、大会形式で皆に争ってもらい
豪華商品をゲットしてもらうというのも、用意されている。
以上のことが、全て無料だ!
赤岳鉱泉の努力には、頭が下がる思いだ。
今回もジャンキーから8人が、スタッフとして手伝うことになった。
9日
今日は、堰堤バスのお出迎えはない。
自力でのアプローチとなった。

すっかり春めいた日差しとなってきた。
汗ばんでくる。
気持ちの良い朝だ!
一人、春の気配を感じながら、ノンビリと雪道を歩いた。
(この足跡は、誰だ?)

今日の鉱泉は、宿泊予約だけでも300人を越えていて
大変な一日になる予想だ。
急遽、行者小屋を開け50人程は、そちらに回ってもらったらしい。
10時からは、スタッフミーティングが行われた。
先々週のキャンディー・カップでの事故のこともあり
安全確保優先の通達がなされた。

美濃戸林道で脱輪事故があり、お客の到着が遅れているようだが
定刻になったので、間に合ってるお客を集め
若旦那タイキが、キャンフェス開幕を宣言した。

まずは、イシゼキGとアダチ夫妻による
[アイスクライミングを楽しむために] の講座と、デモ・クライミングが始まった。

私が、いつものシリーズ写真を撮っていると
傍らから、ホンゴウGがヨダレを垂らしながら、うらやましそうに見ている!?
(しかたが、ないな~)
「ホンゴウちゃん、今回はホンゴウ・バージョンにしてあげるわ」
嬉しそうに、歩み寄ってきた。
「もてる男は、つらいの~!」

体験会が始まった。

今日の私の仕事は、装備係だ。
ハーネスを付け、アイゼンのサイズ調整をし、ヘルメットをかぶらせ
案内係に引き継ぐ。
アイス対応の靴を履いている人は、皆無で殆どの人が歩き用の靴。
4シーズン用なら手間は少ないが、3シーズン用、トレーッキングシューズとなると
そうはいかない!!
使えるアイゼンを探すのに、一苦労だ。
はたまた、セミカットのスニーカーで来たお客には難儀した!
ここの部署がモタモタしていては、受付が滞ってしまう。
素手になって、奮闘した。
疲れてきた!腹も減ってきた!
ふと、後ろを見るとコンロの火はすでにおきていて、食材も置いてある。
そっと抜け出し、調理係に変身した。
お客に提供が始まれば、パニック状態になる。
それまでに、スタッフは先に腹ごしらえをさせようという目論見だ。
味見と称して、一人食いまくる!?

手が離せるスタッフを順番に呼び寄せ、食べさせた。
そろそろお客も、スタッフが食べているのを横目で見ていて
これ以上は、お預けにしておけそうにない。
声を掛けた 「さあ皆さん、自由に腹一杯食べてください」 と
こうなると、調理係は大変だ。
案内係のミッチーとアユを、調理係に変身させた。
そして、その場をそっと離れた。
暫くして戻ってみると、お客に囲まれた中で、生焼けの肉に伸びてくる箸を
トングで追い払い、戦っていた!
(よく似合ってるわ!!)
「隊長!!何処へ行ってたの?大変なんだから!」
叱られた・・・。
どんどんお客は、増えてくる!!
クライミングにも、行列が出来始めた。
急遽、2ルートを追加した。
今度はビレイ係に変身した。
私の性格上、ただ登らせるだけでは済まない。
ジャンキー・クライミング教室になってしまった。
時間が掛かりすぎるかも知れないが
「少しずつ分かってきました。楽しくなってきた」 という
お客さんの嬉しそうな顔を見ると、私も嬉しくなった。
3時を過ぎ (そろそろかな) と受付を見ると、なんのことはない
行列が出来ているではないか!!
(え~!!いつまで続くんだ!)
ビレイ係にした4人は、朝から延々とビレイしているはずだ。
くたびれているだろう!
あまりのお客の多さに、とうとう装備品が回らなくなってきたようだ。
ミッチーが大声で装備回収を、呼びかけている。
(こいつの、この現場仕切り能力は天性かも・・・)
後のプログラムが、まだ控えている。
4時、今日の終了コールが掛かった。
(受け付け集計で、100人を超える人が楽しんでくれたらしい)
僅かの時間だが、やっとスタッフ達もクライミングを楽しむことが出来た。

スタッフの晩飯は、お客が終わってからだ。
今日はずいぶんと遅くなるだろう!
部屋で酒盛りが始まった。
外の賑やかさに、窓から覗いてみると花火が始まっていた。

7時半、やっと晩飯にありつくことが出来た!
私は、すでに出来上がっている!
進まない食を、頑張って少しずつ口に運んだ。

食後一息ついていると、皆の歌声と共にサプライズがやって来た!!
バースデイケーキだった。
そう、明日10日は私の誕生日だ。
チームの若衆達が、鉱泉に頼んで作ってもらったらしい。
本人すら、忘れていたことを・・・!
本当に、ビックリした!
嬉しかった!!
まだ、ホールにいたお客や、スタッフ一同の祝福を受け、舞い上がってしまった!!
(感謝感激!!あめあられ!!)
皆にはやされ、写真を撮ったが
娘や孫の祝福を受け、喜びが隠せない只のジジーになっている。
(たしかに只のジジーだが、まだジジーとは呼ばれたくない!!)
ジャンキーメンバー達も、私のこんな顔を見るのは、初めてのことだったろう。

もちろん [もてる男は、つらいの~!] も撮ったが
あまりにもアホ顔なので、今回も非公開とする。

ハシャギにハシャイだ!!
飲みに飲んだ!!
部屋に戻ったのは0時を過ぎていた。
いつも7~8人で泊まっている、いつもの部屋に
今日は22人寝なければならない!!
早い者勝ちで、布団の海に潜り込んだ。

10日
重い体を引きずり、外に出てみると
すでにコンペ用の落書きは、終えられていた。
超ビギナーコンペという設定だが、どう見たって???
このバウンダリーをこなせる奴は、超ビギナーとは呼べない!

8時から受付が始まった。
コンペの方も、予定人数を超え
50人の選手登録となった。

昨日とは打って変わって、怪しい天気だ!?
嫌な風が吹いている。
キャンディーを前に、ルール説明が行われる。

コンペが始まった。
セッション方式である。
6ルート用意され、どのルートからチャレンジしても良い。
やさしいルートは人が殺到して、行列だ。
空いているからといって、難ルートに挑めば
いきなりパワーを吸い取られる。
制限時間内に、いかに効率良く回るのかも作戦の内だ。
ビレイヤーにとっても、どのルートを任されるかで
忙しさが大きく変わる。

皆が私の顔を覗くなり 「隊長(体調)、大丈夫ですか?」 と
声を掛けていく。
私は、まだ昨夜の後遺症が残っているようだ。
監督業に徹することにした。

寒い中、振る舞いのキノコ汁が大人気だ。
タイキの頭にイモト人形が乗っている。
(なにやってんだ???)

訳はすぐに分かった!
本物のイモトが現れた!
TV番組 [イッテQ] の撮影のようだ。
(ちゃんと、眉毛をつけていた!!)
今晩は、鉱泉泊まりらしい。

コンペも終了し、表彰式が始まる頃、天気が荒れてきた!
霰が吹き付ける、嵐の中でのジャンケン大会となった!!

スタッフも参加OKということで、ジャンケンに加わるが
本日一番の目玉景品、シモンのバイル2本セットを
なんと、ジャンキーのヨシゾーが取ってしまった!!!
スタッフ皆から、やっかみのブーイングを浴びる。
皆、早々に鉱泉内に逃げ戻り、帰り支度をする。
今回も楽しい二日間だった。
鉱泉仲間と騒ぎ、飲み、話し合い
キャンフェスを楽しみ、本当に有意義な時間だった。
そして、こんな私のためにパーティーを企画してくれた
ジャンキー仲間、鉱泉スタッフ、ガイドさん達
本当に、ありがとうございました。
賑やかな誕生日を、すごさせて頂きました。
(人のつながりに、感謝!感謝!)
by 隊長